WATER PURIFICATION

飲料水の課題

世界には、安全で清潔な飲料水が不足している地域が多く存在しており、特にサブサハラアフリカの農村部ではこの課題が深刻です。この地域では地下水が主な水源として利用されていますが、見た目には透明で清潔に見える場合でも、安全性が保証されているわけではありません。地下水にはウイルスや細菌といった目に見えない病原体が含まれていることがあり、これが水系感染症や健康被害を引き起こす大きな要因となっています。さらに、多くの村落では浄水設備が整備されておらず、住民は直接地下水や表流水を利用せざるを得ない状況です。こうした課題に対し、持続可能で現地の環境に適した水浄化技術の導入が急務であり、住民の健康改善と生活環境の向上を目指す取り組みが求められています。

中空糸膜技術

日本の最先端の膜ろ過技術は、泥などの不純物だけでなく、ウイルスなどの病原体も除去できる優れた技術です。薬品を一切使用せず、非常に安定した水質を提供するこの技術は、既に世界中に輸出され広く使用されています。しかし、従来のシステムでは、ろ過に安定した商用電力供給が必要だったため、発展途上国では導入地域が限られていました。

私たちは省エネルギー型の製品を開発し、この技術をさらに進化させました。この新しいシステムは、バッテリーを必要としない太陽光発電技術と組み合わせることで、電力インフラが整備されていない地域でも安定して大量の飲料水を供給できるように設計されています。これにより、より多くの地域で安全な水を提供することが可能となり、持続可能なインフラの構築に貢献します。

浄化能力と膜洗浄機能

飲料水不足が深刻な地域に向け、私たちの最小の装置は、1時間あたり最大約1,000 Lを生成することができます。世界中で安全な飲料水が不足している地域は多く、特に開発途上国の農村部では水質の確保が大きな課題です。そこで注目されるのが、私たちの浄水装置です。この装置は、一般的な表流水から1時間あたり約1,000リットルの飲料水を浄化する能力を持ち、需要に応じてシステムの拡張が可能です。さらに、自動洗浄機能により、ろ過膜の頻繁な交換が不要で、浄化性能を維持しながらコストも抑えられます。水質にもよりますが、毎日8時間の使用でも、膜の寿命は5年以上で、安定した水供給が可能です。

緩速ろ過(砂ろ過)

緩速ろ過(砂ろ過)は、凝集剤を利用することで濁度の高い水にも対応でき、浄化速度を向上させることが可能な技術です。一方で、凝集剤を全く利用しない方法は環境負荷が少なく、化学薬品を使用しない点が特徴ですが、濁度の高い水には対応が難しくなります。また、この方法では、バクテリアの活動によって砂層が硬化するため、定期的なメンテナンスが必要です。特に規模の小さなシステムでは、このメンテナンス作業が非常に手間がかかり、人手や時間、専門知識が必要となる場合があります。

さらに、緩速ろ過は広い設置スペースが必要であり、大量処理が得意な一方で、人口5,000人以下を対象とする小規模な地域では、設備導入や維持管理にかかるコストが高いため、採算面で導入が難しいという課題があります。このため、小規模地域や高濁度の水源では、緩速ろ過を単独で使用するのではなく、より簡便で維持管理が容易な代替技術や補完的なシステムとの併用が求められる場合があります。

水浄化の様子

事例

セネガル