世界でも最も危険な地域に「明かり」が灯るまで──ニジェールでの記録

今回のプロジェクトは、公的機関によるプロジェクト。
辻プラスチック社は、その中で機材の提供と現地での設置・指導を担当させてもらってます。

そしていま――
砂漠の国ニジェールに、私たちの「水と電気」のプロジェクトが、ついに動き出しました!

前回の記事では「荷物が来た!」という第一関門クリアの喜びをお伝えしましたが、今回はその続き。
実際の現地導入、そして住民の反応まで、一気にご紹介します!

前回の記事はこちら。

目次

最初の導入サイトDiffaは、なんと1200km先!

最初の導入サイトはなんと
首都ニアメから1200kmも離れたDiffa(ディファ)
ここからプロジェクトが始まりました。

地元では盛大な式典が開催され、テレビでも放映されたとか。
チームメンバーは、その直前まで必死の準備作業で、
残念ながら、式典の写真は…ほとんど取れてません。😢

導入サイト:TeraとOuallam

次なる導入地は、ニジェール西部・Tillaberi州のTera地区、そしてOuallam地区。
──どちらも、現地関係者から「最も慎重を要するエリア」と言われる地域です。

見えてきた導入サイトの村落

今回のプロジェクトは、公的な枠組みの中で実施されているものですが、
現地ではさまざまな事情から、すべての行動に最大限の注意が必要でした。

日程や移動ルートは完全非公開
共有されるのは信頼できる限られた関係者だけ。その徹底ぶりは、まるで極秘任務。

たとえば──
電話やSNSは一切使わず、関係者が直接訪問して口頭で伝達
記録もナシ。メモも残さず、記憶だけが頼り
村内での車両利用は禁止。とにかく“目立たない”ことが大前提

そして、まず私たちが向かったのは「安全」とされる施設。
とはいえ、正直なところ安全性にはかなり疑問がありますが、選択肢はありません。
この場所を拠点に、プロジェクトを進めていくことになりました。

導入施設から村落内の宿泊先まで徒歩でコソッと移動
日が落ちる頃、そっと村の中に入り込むように──。


これや!これが欲しかったんや!〜 POWER BANK付きランタン 〜

女性たちの歓喜

こんなランタン、見たことない!
夜に灯りがある。それだけで、こんなに安心できるなんて…。

そう話してくれたのは、とあるお母さん。
これまで、日が沈めば暗闇が当たり前だった地域に、明るい夜がやってきました。

子どもたちは、ランタンの灯りのもとで勉強を続けられるようになり、
家族みんなで顔を見ながら笑いあえる時間が生まれました。
夜が長くて怖い!と感じていた子どもたちも、今ではランタンをつけるのが楽しみになったようです。

ただ明るいだけではなく、家族の時間が豊かになる。
そんな変化に、村中から「これや!こんなのが欲しかったんや!」の声が広がっています。

写真は、順番に説明を熱心に聞き、嬉しそうにランタンを手にする女性たち

男性たちの「びっくりポイント」は、スマホ充電!

一方、男性たちが驚いたのは「スマホがちゃんとフルまで充電できること、しかも高速で!

この地域では、スマホの充電をするために、わざわざ遠くの「充電屋さん」に預けに行くのが一般的。
しかも、そのうえ半分くらいしか充電されていないこともあるのだとか。

3000個のランタン

今回のプロジェクトでは、各世帯にランタンを配布し、
多くの家庭に待ち望んだ夜の灯りが届けられました。

しかもこのランタン、ただの灯りではありません。

メチャメチャ明るい!
それなのに、1回の充電で3〜5日も使えるんです。

つまり、頻繁に充電する必要がないので、
村の人たちからは「手間がかからない」「負担が少なくて助かる」と大好評でした。

集落にひとつ、みんなの充電ステーション

― バッテリー不要のソーラー充電器 ―

スマホを遠くの“充電屋さん”に預けるのが日常だったこの地域。
それが、自分の集落の中で充電できるようになったことで、便利さは一気に向上します。

今回のプロジェクトでは、公的機関と連携しながら、
各集落にソーラー充電器が設置されました。(※設置場所は連携機関の判断によるもの)。
ソーラー充電器は取扱いが非常に簡単なため、取り扱い指導を受けた各集落の代表者に供与されました。

このソーラー充電器は、バッテリー不要でメンテナンスもラク
日中の太陽光で、最大8台のスマホやランタンなどのデバイスを同時に充電できます。
使い方はシンプル。ソーラーパネルに繋ぐだけで使用可能です。

水も、きれいに!

これ、本当にあの茶色い水なの!?
住民たちの驚きの声が、あちこちから上がりました。

導入された水浄化システムは、川や溜まり水などの濁った水を、透き通った清潔な水に変えてくれます。見た目がきれいなだけではなく、下痢の原因となる大腸菌などの有害ウイルスも除去できるため、安心して飲むことができます。

蛇口をひねると、勢いよく清潔な水が流れ出し、その場で飲んだ住民からは
「まるでボトル水みたい!」
と、感動の声も。

水を沸かして飲んでいた地域の方々にとって、「安全な水がその場で手に入る」ということ自体が、大きな驚きです。


頼れる現地パートナーがいてこそ!

今回のプロジェクトを支えてくれたのが、現地のビジネスパートナーたち。

彼らは辻プラスチック社で正式に技術研修を受けた仲間たちで、日本に留学経験もあるABEイニシアティブの卒業生です。過去には、日本人が渡航できなかった時期にも現地でプロジェクトを完遂してくれた頼もしい存在。
今回も、暑い中でソーラーパネルのアルミ架台をテキパキと組み立ててくれました。
※ ソーラーパネルの架台は、現地輸送を考えてアルミ製の組立式にしています。

彼らは水浄化装置の仕組みを住民にわかりやすく説明し、設置準備も手際よく対応してくれました。今回は南スーダンからも仲間が加わり、国を越えて協力し合う体制で取り組んでいます。彼らの力なくして、このプロジェクトの成功はあり得なかったでしょう。

最後に…

今回のプロジェクトは、公的機関による公式な支援事業であり、辻プラスチック社はその連携企業として参画させていただきました。このプロジェクトで使用された機材はすべて、辻プラスチック社が責任をもって供給したものです。

連携機関によれば、こうした取り組みにニジェールで関わった日本の民間企業は、今のところ辻プラスチック社だけとのこと。しかし、民間だけの力で、この国の村々に水と電気を届けるのは、正直いって不可能です。

それでも、公的機関の力強い後押しと、「村に電気と水を届けたい」という想いを共有する現地パートナーたちの尽力によって、これまで支援の届きにくかった地域にも、確かな変化を届けることができました。

灯りのスイッチがついた瞬間に上がった歓声。
蛇口から透明な水があふれ出たときの、あの驚きと笑顔。

あの景色を見られたことだけで、
「ここまで来て、本当によかった」と心から思えました。

これからも、ひとつひとつの村に、ひとりひとりの暮らしに、
“なくてはならないもの”を届け続けられるよう、挑戦を続けていきます。

ギャラリー

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次