プラスチック材料、なぜ下がらへんの? ― 現場で感じる価格のズレ

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下がらないプラスチック原料価格

弊社の成形事業部では、日々たくさんの樹脂ペレットを使用して製品をつくっています。
以前は、材料の価格が上がるときには「原油価格が高騰しているから」「ナフサが値上がりしている」といった、ある程度納得できる理由がありました。

しかし近年では、「企業努力の限界です」といった、やや曖昧な説明での値上げが目立つようになっています。現場としては、なぜこの価格なのかが見えづらく、判断に困る場面が増えています。

実際、プラスチック原料の価格に大きく影響するのは、原油価格と為替(円ドル相場)です。では、最近それらはどう動いているのか、2022年度以降の流れを整理してみます。

円安と原油価格の推移(2022〜2025年)

2022年
ロシアのウクライナ侵攻により原油価格が急騰。WTI原油は一時1バレル=120ドル前後へ。
同時にアメリカの利上げと日本の金融緩和の継続により、為替は急激な円安へと進行(1ドル=150円近くまで下落)。

2023〜2024年
世界経済の減速懸念やアメリカの戦略備蓄放出などにより、原油価格は70〜90ドル台へとやや落ち着く。
為替は不安定ながらも円安基調が続く。

2025年6月現在
原油価格は1バレル=63ドル前後まで下落。為替もやや円高に振れ、1ドル=143円台へと戻りつつあります。
この状況により、日本の輸入コストは相当さがったはず。

それでも価格は下がらない?

こうした客観的な数値を見る限り、原油も為替も「以前よりは落ち着いてきている」状況です。
にもかかわらず、プラスチックの材料価格は依然として高止まりしており、なかなか下がる気配が見えません。

現場の感覚では、「メーカーの在庫、結構積みあがってるんちゃうか?」と感じることもあります。
にもかかわらず、価格はなかなか下がらない。もう少し安くしてくれてもいいのでは?と思うこともありますが、最近は“新しい案件”がないと値下げ交渉に応じてくれない、そんな空気も感じます。

というのも、
樹脂材料の価格は依然として高い水準にありますが、最近、ある程度まとまった数量の材料を必要とする新規成形案件を進めるにあたり、「この材料価格ではとても無理や…」と半ばあきらめていたのですが、材料商社さんに相談してみたところ、思いのほか前向きな価格を提示いただき、無事に案件を進めることができました。

やはり、年間を通して一定量の使用が見込める案件であれば、交渉の余地はあるようです。とはいえ、そういった案件をうまく形にできるかどうかが、重要なポイントかもしれません。

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