小さな店舗から養鶏場へ。ウガンダ実証第三弾 “止まらない電力” の挑戦 J-Partnership

今回の取り組みは、私たちがウガンダで行っている一連の電化実証プロジェクトの「第三弾」です。

第一弾では無電化の学校、第二弾では村の小規模店舗を対象にソーラーシステムを導入し、
“止まらない電源”の必要性と効果を確認してきました。

そして第三弾となる今回は、小規模事業者レベルを超えた「事業用電力」への挑戦です。
対象は、照明・監視カメラなど大きな電力を必要とする新設の養鶏場
ここで、太陽光発電だけでどこまで事業運営が可能か、その可能性を実証します。

目次

ウガンダの電気代って高い?

ウガンダの電気料金は、日本より少し安めです。
ただし、収入水準がまったく違うため、住民にとって決して安いとは言えません。

もっと大きな問題は、停電・瞬停・電圧降下の多さです。
そのため、事業を行うにはバックアップ電源が必須装備となり、
このコストが非常に高額です。

結果として、いくら電気代が安くても、
停電対策にかかる費用がすべてを帳消しにしてしまうのが現実です。

また、電力料金そのものも事業経営にとっては大きな負担です。
冷蔵・照明・機械運転など電力を多く使う事業では、
電気代が経営コストの大部分を占めることも珍しくありません。

首都カンパラでさえ停電が頻発し、地方ではさらに供給が不安定。
ウガンダで安定した電力を得ることは、簡単ではありません。

ソーラー導入の目的は「節電」ではなく「事業継続」

日本ではソーラー発電というと「節電」「省エネ」という印象が強いですが、
ウガンダでは目的がまったく異なります。

ウガンダの事業者にとってのソーラーの価値は、

  • 電気が止まらないこと
  • 機械が壊れないこと(電圧降下による)
  • サービスを継続できること

つまり、“事業を止めない電源”を確保することです。

電気が来ていても止まってしまう。
そんな現状の中で、ソーラーは「電気代を減らすため」ではなく、「止まらない電気を持つため」に導入されています。

バッテリースルー技術の強み

こうした環境にぴったりなのが、弊社が開発したバッテリースルー技術を搭載したソーラーシステムです。

ウガンダでは、バッテリーの交換コストが非常に高く、
これがソーラー導入の大きなハードルになってきました。
その課題を、独自の「バッテリースルー技術」で解決します。

  • 太陽光があればバッテリーを介さず直接負荷を動かす
  • バッテリーの負担を減らし、寿命を延ばす
  • 結果として交換費用を大幅に削減

つまり、停電対策とコスト削減の両立を可能にした仕組みです。
これは「止まらない電力」が求められるウガンダに、まさにぴったりの技術です。

養鶏場での実証:事業用電力の挑戦

今回の実証を行ったのは、新設された養鶏場です。
オーナーは、これまでのウガンダの電力事情を踏まえ、
新しい養鶏場をソーラーシステムで運用したいと考えていました。

これまではソーラーといえば、
停電時のバックアップ電源として使われることが一般的でした。
しかし今回は、太陽光発電だけで養鶏場全体をまかなうという新しい挑戦です。

飼育には「止まらない電気」が必須

養鶏場では、
照明によって鳥の生活リズムを整えることが最重要です。
照明が不十分だと餌を食べる量が減り、成長や健康に大きな影響が出ます。

さらに、近年は盗難対策のための監視カメラも必須となっています。
広い鶏舎をカバーするため複数台のカメラが必要で、
照明と合わせると相当な電力を消費します。

ソーラーは倉庫棟に設置し、鶏舎へも供給

今回導入したソーラーシステムは、
鶏舎に隣接する管理棟に設置し、そこから鶏舎に電力を供給しています。

640W構成を採用

消費電力を綿密に計算した結果、
12V系では不足であり、学校実証と同じ24V系CAPOSOLが最適と判断しました。

24V系はさらに多くのソーラーパネルをつなげますが、現地で入手できるバッテリー性能の限界も考慮し、今回は 640W構成が最もバランスが良いと判断。もし足りなければシステムの並列追加が可能で、事業規模の拡大にも柔軟に対応できます。

まずはこの構成で実証し、ソーラーだけで事業が成立するかを検証していきます。

成功すれば、
電力インフラが無い場所でも安定稼働できるため、わざわざ送電線の近くに土地を必要が用意する必要がなくなるという大きなメリットがあります。これは事業性を大きく高めるポイントです。

まとめ

これまでの小規模店舗での実証から一歩進み、
今回の第三弾では、「事業用電力をどこまでソーラーで支えられるか」を実証しています。

ウガンダでは「安い電気」よりも、「止まらない電気」が価値を持つ。
停電が日常の中で、事業を止めないための電源こそが必要とされています。

バッテリースルー技術は、まさにこの現実にフィットした解決策です。
停電対策とコスト削減の両方を実現できるこの仕組みを、今後も現場で検証し、アフリカの事業現場に“止まらない電気”を届けていきます。

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