値上げのFAXが一斉に届いた
イラン情勢の緊迫化を受けて、ここ数日でアルミ地金のNSPやプラスチック原料の値上げに関するFAXが、本当に一斉に届きました。
ぽつぽつ届いたのではなく、「一気に来た」という印象です。
注文のFAXがたくさん届くのは、うれしい悲鳴です。けれど、値上げのFAXが一斉に届くと、本当に悲鳴しか出ません。
ニュースで中東情勢が緊張していることは分かっていても、実際に仕入先から同じタイミングで価格改定の案内が続くと、その影響がすでに現場レベルまで来ているのだと実感します。
NSP560円は、もう“高い”では済まない水準
2026年4-6月期のNSPは560円となりました。
これは、単に「少し高い」という話ではないと思います。相場が明らかに新しい危険水準に入ってきた、そう感じる水準です。
NSPのグラフが、もうかなり高いところにシフトしてしまいました。そんな高いところまで行かなくてもいいのに、というのが正直なところです。
しかも、今回本当に怖いのは、この560円という価格自体が、イラン情勢の影響を本格的に織り込む前の価格だということです。
つまり、今見えている数字だけで驚いていてはいけないのかもしれません。今回の中東情勢悪化の影響は、むしろこれから本格的に相場へ乗ってくる可能性があります。
さらに為替の面を見ても、そう簡単に楽にはならない気がします。
日銀の利上げが予測されているとはいえ、米国は利下げを見送りそうなので、結局は円安がまたすぐ戻ってきそうです。
アルミは製造段階で大量のエネルギーを使う素材ですし、プラスチック原料も原油価格の影響を受けやすいです。
そのため、中東情勢の悪化と原油高は、アルミにもプラスチックにも同時にコスト上昇圧力をかけてきます。
原油高だけではない。アルミそのものが危ない
今回の相場をややこしくしているのは、単なる原油高だけではないことです。
原油関連インフラにはすでに相当の被害が出ていて、これからさらに被害が広がる可能性も高い。そうなると、エネルギー価格は高止まりするだけではなく、さらに上を目指す可能性も十分あります。
しかも今回は、中東のアルミ精錬施設そのものが被害を受けたという情報も出ています。
つまり、今回は「原油高でコストが上がる」という話だけではなく、アルミ地金そのものの供給不安まで重なってきたということです。
これが本当に厄介です。
エネルギーコストが上がる。
さらにアルミそのものも足りなくなるかもしれない。
この二つが重なるなら、アルミ相場が一段上で済まず、とんでもない高値に向かってもおかしくないと思います。
しかし、怖いのは相場だけではない
ただ、怖いのはアルミ相場の上昇だけではありません。
今回のような情勢悪化は、原油高や材料高を通じて、景気後退の可能性そのものを高めていくと思います。
企業にとっては、仕入価格は上がる。
それなのに、景気が冷え込めば、需要は弱る。
これがいちばん厳しいところです。
つまり、ただのインフレではなく、景気が悪いのに物の値段だけが上がる、スタグフレーションのような流れに入っていく可能性もあるということです。
そうなると、材料を持っていないのも怖い。
しかし、先を見すぎて大量に仕込んでしまうと、今度は景気後退時に重い在庫になるかもしれません。
相場は上がる。
しかし、需要は弱るかもしれない。
この両方を同時に考えなければならない局面に入ってきたのが、今回のいちばん難しいところだと思います。
正直、この先どうなるかはよく分かりません。
それでも、3月のうちに急遽、安全カバー関連の在庫を増やしました。量としては、だいたい3か月分強くらいです。
とはいえ、無理に積み上げたわけではなく、受注が安定しているお客様分を最優先に考えて手当てした形です。
製造業にとって、ここからが正念場
中東情勢の悪化によって、これから製造業はかなり大きなピンチを迎えることになると思います。
原材料は上がる。エネルギーコストも上がる。しかも、その先には景気後退の可能性まで見えてきています。
こういう局面では、ただ耐え忍ぶだけでは厳しいです。
もちろん、無理に動けばよいという話でもありません。けれど、じっと我慢しているだけでは、結局は淘汰の道を歩むだけになってしまう気もしています。
だからこそ、できることを一つずつ実行していくしかない。
在庫の持ち方もそうですし、お客様との連携の仕方もそうです。
相場の先を正確に当てることはできなくても、何もしないまま流されるのではなく、今やれることをやっていく。
それが、これからますます大事になってくるのだと思います。
