現在のアルミ相場(2025年10月時点)
LMEアルミ価格は 約2,860 USD/トン(10月下旬時点)。上がっとるやん!
年初の2,500ドル台から少し上昇し、現在は高止まりの状態です。
一方、NSP価格に影響する日本向けの「輸入プレミアム(CIF日本港)」は急落しました。
うちだけが景気悪いわけでなくことが分かりホッとしてます。
| 期間 | プレミアム水準 | 備考 |
|---|---|---|
| 2025年Q1 | 約228 USD/t | 高水準の交渉決着 |
| 2025年Q2 | 182 USD/t | 約20%下落 |
| 2025年Q3 | 108 USD/t | さらに40%下落 |
| 2025年Q4 | 100ドル割れ目前 | 需給の緩みが継続中 |
この「輸入プレミアム」は、国内の地金販売価格を決めるNSP(New Standard Price:新基準価格) とも密接に関係しています。
NSPは、
LME(ロンドン金属取引所)での国際価格
+ 輸入プレミアム(CIF日本港)
+ 為替レート(ドル円)
の3要素をもとに算定され、
日本国内のアルミ地金取引における実質的な基準価格として機能しています。
ただし、NSPは四半期ごとに見直される平均値方式のため、短期的な相場変動はすぐには反映されません。今回のようにプレミアムが急落した場合でも、NSPが下方修正されるのは数か月後になるのが一般的です。
そのため、
「輸入コストは下がっているのに、国内販売価格はまだ高い」
というギャップが一時的に生じることがあります。
とはいえ、この下落傾向が続けば、
2026年前半にはNSPの引き下げが現実味を帯びてくると考えています。下がってほしい人の希望的観測ですが。
為替も「円高になりそうでならない」
為替市場も同じような“粘り”を見せています。
ドル円は 150.5〜152.5円のレンジで推移中。
本来であれば円高に動いてもおかしくない材料がいっぱい揃っています。
- 米国では利下げ観測が高まり、金利差が縮小傾向
- 日本の経常収支は過去最高水準(円安で押し上げられた数字やけど)
- 貿易収支も改善傾向
- 海外投資家の日本株買いは高水準を維持しており、株価は5万ポイントを突破
それでもなお、円高は進まず、円安が粘り強く続く状況です。
「金利差だけでは説明できない円売り構造」が定着しており、
為替もまた、“円高になりそうでならない”相場となっています。
今後1〜2四半期のアルミ相場予測
妄想で作成してみた
| シナリオ | 価格レンジ(USD/t) | 背景 |
|---|---|---|
| ベースケース | Q4:2,700〜2,900 Q1(2026):2,600〜2,800 | 在庫増、需給緩み、やや調整方向 |
| 下振れシナリオ | Q4:2,500〜2,700 Q1(2026):2,400〜2,600 | 中国需要減速、再生材供給増 |
| 上振れシナリオ | Q4:2,900〜3,200 Q1(2026):3,000〜3,300 | 電力制限・地政学リスクによる供給不安 |
現時点では「下押し方向に傾きつつも、崩れない」状況。
世界の在庫が増え、再生材の供給も拡大していることから、2026年前半にかけては緩やかな下落基調を予想してます。
二つの「下がってほしいのに下がらない」相場
アルミも為替も、どちらも同じ構図を描いています。
下がる要素は多いのに、実際の相場は粘り強い。
- 世界景気の減速で需要は弱め
- エネルギー価格の落ち着きで精錬コストも下がり気味
- 中国の不動産不振でアルミ需要減
- 米国の利下げ観測で円高期待
それでも、実際の価格は“底堅く”推移。
背景には、投機的な資金の流れと、実需の底支えがせめぎ合う市場構造にみえます。
うちみたいな小さな会社は
粘り強い相場に対しては、こちらも粘り強く構えるしかありません。
うちではアルミに関しては、年始に向けて在庫をさらに絞っていく予定です。
もう倉庫はスキスキですわ。
正直なところ、注文が減っているから現実的な判断をせざるを得ません。
ここは「キャッシュフローを良くする経営」と、かっこよく言っておきましょう。
さらに、こういうときこそ、
需要の高い業種にシフトしていくチャンス! とポジティブに。
……とはいえ、そんな需要の高い業種がどこにあるねん。
ほんまにあるなら、みんなもう行ってるわな(笑)。
ま、焦らずぼちぼち。
うちも“粘り強い相場”に負けんよう、粘り強くやっていきます。
