電気は無い。でもスマホはある。― ニジェール・ドッソ州で見えた、地方市場のリアルな需要 ―

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ニジェール南西部・ドッソ州という場所

現地ビジネスパートナーが向かったのは、ニジェール南西部に位置する Dosso Region です。
首都 Niamey から南東方向へ、およそ130km。距離だけを見ると決して遠くはありませんが、道路状況の影響もあり、車での移動には3〜4時間ほどかかります。

ニジェールは治安に課題を抱える国として知られていますが、ドッソ州はその中では比較的治安が安定している地域です。ただし、それは昼間に限っての話。夜間の移動や活動は避ける必要があり、日没とともに人の動きは一気に少なくなります。

ニアメを離れてしばらく走ると、街灯のある風景は次第に消え、夜になれば辺りは一面真っ暗になります。この「首都から少し離れただけで、電気のある世界と無い世界がはっきり分かれる距離感」こそが、今回の話の前提です。

電化率の現実を「数字」と「感覚」で見ると

ニジェール全体の電化率は、およそ20%前後とされています。
ただしこれは都市部を含めた平均値で、都市部を離れた農村部では5〜10%程度まで下がります。ドッソ州の多くの村も、ほぼこの水準です。

感覚的に言うと、10人集まって、電気が使える家は1人いるかどうか。
残りの9人は、夜になるとランタンや懐中電灯に頼る生活です。

しかも「電気がある家」でも、停電が頻繁に起きたり、夜は使えなかったりすることが珍しくありません。
電柱は立っているのに、電線がつながっていない。つながっていても電気が流れていない。そんな光景が当たり前の地域です。

それでもスマホは生活インフラになっている

一方で、電気が無いにもかかわらず、スマートフォンの普及率は非常に高い
地方に限らず、どこにいっても強く感じる点です。

スマホは連絡手段にとどまらず、商売のやり取り、モバイルマネーでの送金、情報収集など、生活と経済活動を支えるインフラそのものです。
つまり、スマホが充電できない=生活や商売が止まる、という感覚に近い。

だからこそ、充電できる場所には自然と人が集まり、電気そのものが価値になります。


個人事業者(キオスク)という明確なターゲット

私たちが今回ターゲットとしているのは、個人事業者です。
具体的には、村の中で営業しているキオスクや、小規模な個人商店が中心になります。

今回の販売先にも、こうした個人事業者が多く含まれています。
理由はシンプルで、キオスクは人が集まり、現金収入があり、充電サービスをそのまま商売にできる場所だからです。

屋根の上にソーラーパネルを設置し、店の中でスマートフォンの充電を行う。
電力網に接続されていなくても、昼間は太陽が出ている間、確実にサービスを提供できます。

「バッテリーが要らない」から、商売が続く

今回導入・販売したのは、ソーラー充電器と充電式ランタンのセットです。
この組み合わせは、個人事業者にとって非常に分かりやすい価値を持っています。

ランタンがあれば、夜間も店を開けることができる。
夜まで営業できれば、客が増え、売上が伸びる。
さらに、スマートフォンの充電サービスを組み合わせることで、キオスクの役割は一段広がります。

そして重要なのが、バッテリーに接続しなくても良いという点です。
地方では収入が低く、バッテリーは高価で、劣化や交換の負担が大きい存在です。
バッテリー無しでそのまま使える仕組みは、個人事業者にとって「始めやすく、続けやすい」条件を満たしています。

ドッソ州は、確かに電気がなく、治安も昼間に限って活動できるという制約があります。
それでも、スマートフォンはすでに生活インフラとして根付き、充電や灯りへの需要は非常に現実的です。

必要なものが、まだ届いてないだけ。

ニアメから約130km。
ほんの少し場所が変わるだけで、エネルギーの価値はここまで変わります。今回の現地営業で得られた手応えは、個人事業者を軸にした地方市場にこそ、現実的な可能性があるという確信でした。

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