こんなに太陽があるのに発電機?ニジェールで見えてきたソーラー充電ビジネスの答え

目次

電気は少ない。でも、太陽はたっぷりある

西アフリカのニジェールは、アフリカの中でも、いまだ電化率がメチャメチャ低い国の一つ。地方へ行くと送電網が十分に整備されておらず、安定して電気を使うことが難しい地域がたくさんある。その一方で、ニジェールには別のものがたっぷりあります。

太陽です

年間を通して豊かな太陽光に恵まれており、太陽光発電の普及が期待されている国でもあるんです。現地へ行くと、「もうちょっと手加減してくれてもええで」と言いたくなるくらい、太陽は元気ハツラツ。

電気は十分にない。でも太陽はたっぷりある。となれば、地方で必要な電気はソーラーで作っている、そんなイメージを持つ人も多いのではないでしょうか。特にスマートフォンのような小さな機器を充電するくらいなら、

そら、当然ソーラーやろ

と思いますよね。

ところが、実際にニジェールの地方へ行ってみると、少し事情が変わってきています。以前はガラケーが多かった地域でも、今ではスマホへの置き換えが進み、普及率もかなり高くなっています。スマホは電池容量も大きく、ガラケーの頃より数倍充電に時間がかかります。

家庭で自由に充電できない地域では、その需要を支えているのが街の充電サービスです。ニジェールの地方には、スマホを預かって充電する店が本当にたくさんあります。それだけ、充電サービスの需要が高いということです。

そして、その充電屋さんの電源に何を使っているかというと、そのほとんどが発電機です。

空を見上げれば、太陽は力強く照りつけている。その下で燃料を買い、発電機を回してスマホを充電している。

いや、こんなに太陽あるのに、なんで発電機なん?

ここに、今回の事業を考える大きなヒントがありました。

お客さんはいる。でも、燃料代で儲からない

今回ソーラーシステムを契約してくれた店は理髪店。

店内にはバリカンや理髪道具が並んでいて、普通の散髪屋さんです。ただ、この店では本業の理髪業に加えて、需要の高いスマートフォンの充電サービスも行っています。

日本では「散髪屋さんにスマホだけ持って充電しに行く」というのは少し不思議に感じますが、家庭で自由に充電できない地域では、充電そのものが立派な商売になっています。

ソーラーシステムを導入する前に、実際の充電サービスの様子を見せてもらいました。

写真を見ると、かなりの数のスマートフォンが並んでいます。

いや、何台充電してんねん(笑)

それくらい需要があります。つまり、このビジネスが儲からないのは、お客さんがいないからではありません。むしろ、お客さんはしっかりいます。

オーナーの悩みは、発電機の燃料代が高すぎること。

特に近年は燃料価格が高くなり、充電サービスの利益を大きく圧迫しています。スマートフォンが集まれば売上は増えますが、その分だけ発電機を長く回す必要があります。発電機を長く回せば、当然燃料もたくさん必要になります。

せっかく充電サービスで稼いでも、その横で発電機が利益をどんどん食べていくわけです。

一番儲かってるの、燃料屋ちゃうか?

と言いたくなるくらいです(笑)。

しかも、これは今回の理髪店だけの話ではありません。ニジェールで充電サービスのオーナーと話をすると、どこでも同じように「燃料代が高い」という話が出てきます。

充電需要はある。お客さんもいる。それなのに、燃料代が高すぎて利益が残りにくい。

それなら当然、

ほな、ソーラーにしたらええやん。

という話になります。

なぜソーラーに変わらない?

ニジェールには豊かな太陽光があります。しかも、太陽光に利用料金はかかりません。

タダやで!

それなら、高い燃料を使う発電機をやめて、ソーラーに変えればいい。そう考えるのは自然ですし、実際に現地でも太陽光発電への関心は高く、これまでにソーラーを導入した経験のある人も少なくありません。

ただ、問題はその後です。

ニジェールではバッテリーがとても高く、1台の価格が現地の人の月収の何倍にもなることがあります。しかも、一般的には1年程度で交換が必要となり、そのたびに大きな費用がかかります。

最初にソーラーを導入した時は「これで燃料代が減る」と思っていても、1年ほどしてバッテリーが弱り、交換費用を聞いて継続を諦めてしまう。実際、そういうケースは少なくありません。

燃料地獄から、バッテリー地獄が待ってた。

さらに、地域でよく使われているソーラーシステムにも限界があります。照明や携帯電話を数台充電する程度であれば十分ですが、何十台ものスマートフォンを毎日充電してお金を稼ぐようなビジネスには、パワーが足りません。

つまり、ニジェールにはソーラーがまったくないわけではありません。使った経験のある人もいます。ただ、設備が小さすぎて商売には向かず、少し大きなシステムにすると今度はバッテリーや機器の価格が重くなる。ここに、ソーラー充電サービスがなかなか広がらない理由がありました。

そして、もう一つ私たち自身が長年悩んできたのが、インバーターです。

村でソーラーシステムをデモンストレーションした時の様子

アフリカの地方で使うシステムでは、価格だけでなく耐久性が非常に重要です。しかし、手頃な価格で、しかも耐久性のあるインバーターを見つけるのは簡単ではありません。

丈夫なものを選べば高い。価格を抑えれば耐久性が心配になる。しかも、地方では故障したからといって、すぐ近くに修理業者がいるわけではありません。たった一つの部品が壊れただけで、充電サービスそのものが止まってしまう可能性があります。

これまで私たちも、

手頃で丈夫なインバーターないんか?

と何度も探してきました。

インバーターをなくしたら、長年の悩みまでなくなった

これまでニジェールだけでなく、他のアフリカ諸国でも、手頃で耐久性のあるインバーターを見つけることは大きな課題でした。そんな中、直流のまま運用する良さに気づいたのが、ウガンダでの実証でした。

実際に使ってみると、わざわざ交流に変換しなくても、スマートフォンの充電サービスは十分に成り立つ。しかも導入する機器は、家庭用の小さなソーラーとは違い、充電ビジネスに使えるだけのパワーもあります。

インバーター、いらんやん

さらに、昼間は太陽光で発電した電気をそのまま充電に使うパススルー方式なので、バッテリーへの負担も抑えられます。昼間だけの営業であれば、そもそもバッテリー自体が必要ありません。

インバーターを使わない。バッテリーにも頼りすぎない。それでも、充電ビジネスに必要なパワーはある。システムがシンプルになれば、故障する可能性のある部分も減ります。修理や部品交換が簡単ではないアフリカの地方では、このシンプルさは大きな強みです。

高価なバッテリー、耐久性に不安のあるインバーター、そして既存の小型ソーラーではパワー不足という課題。ウガンダでの実証を通じて、直流で運用する良さに気づき、今回ニジェールで実際の充電ビジネスに導入してみました。

アフリカの地方で求められているソーラー充電ビジネスの形が、ようやく見えてきた気がします。

設置日は、あいにく曇り(笑)。それでも商売になるか?

契約も終わり、いよいよ設置。ニジェールは年間を通して太陽光に恵まれていまが、その日はまさかの曇り。

いや、今日に限って曇るんかい(笑)

まあ、こればかりは仕方ありません。そのまま屋根へ上がり、ソーラーパネルを設置して発電状態を確認しました。

設置後、とりあえずスマートフォンを10台ほど接続して充電してみました。しかもスマートフォンだけではなく、同時にバッテリーにも充電しています。さすが!ニジェールの太陽は曇りでもパワフル。頼りになります。

晴れた日なら、さらに期待できそうです。

今回、ニジェールでは事業者への機器貸し出し事業が始まりました。もっとパワフルなシステムを用意することもできましたが、大切なのは「高性能な機器を置くこと」ではありません。現地の事業者が無理なく支払いを続けながら、きちんと利益を出せることです。

そこで今回は、あえてシステム構成を抑えめにしました。

それでも、このシステムでスマートフォンを最大25台まで同時に高速充電できます。理髪店のように、すでに充電需要がある事業者にとっては十分に商売に使えるパワーです。

しかも、これまでのように発電機の燃料代を払い続ける必要がありません。昼間は太陽光を直接使い、必要に応じてバッテリーも組み合わせることで、運用コストを大きく抑えることができます。

そのため、発電機を使っていた時と比べると、充電サービスで残る利益はかなり大きくなる見込みです。

ちゃんと払えて、ちゃんと儲かる。

ソーラー充電ビジネスが広がることを期待しています。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次