濁った水を安全な水へ。日本の水浄化技術をニジェールに導入!

この記事は2024年1月にニジェールで実施したプロジェクトの内容です。
実は、ある期間のブログ記事が急に見られなくなってしまいました。素人なので記事を復活させることは難しいそうなので、残しておきたい記事だけは、思い出して書き残そうと思って掲載しました。

目次

ニジェールに、日本の水浄化技術を導入

ニジェールは、サハラ砂漠の南にある国。
想像通りメチャメチャ暑くて乾燥しています。

でも、そんなニジェールにも、国を横断する大きな川があります。ニジェール川です。この川の周辺では一年を通して水を確保できますが、その水は、お世辞にもキレイとは言えません。普段から濁っていて、その水を生活用水として使わざるを得ない人たちがたくさんいます。

そして最近は、洪水も増えてきました。

洪水が起こると、川の水はさらに濁って、ほとんど泥水のようになります。浅井戸にも泥水が入り込み、もともと決して良いとは言えなかった水質が、一気に悪化します。

水がないのも大変。
でも、水があっても泥水みたいでは、さすがに使うのをためらいます。

そんな地域では、
こんな泥水でも、バシッときれいにしてくれる素敵な機器があったらなあ!となるわけです。

いやー、ありますよ。
日本には、そんなステキな機器があります。

しかも、巨大な設備ではありません。小型なのに、村落給水にも使えるほどの処理能力があります。濁った水を透明にするだけではなく、下痢の原因となる大腸菌などの細菌も除去することができる特別な膜を使ってます。

難しい説明を長々するより、実際に見てもらった方が早いです。
濁った水を入れる。
そして、蛇口から出てくる水を見る。

「えっ、こんなにきれいになるん?」

そのスゴさは、写真からでも見てもらえばすぐに伝わると思う。

まずは、首都ニアメでやってみる

本当は、安全な水を切望している地方の村落まで持って行きたいところです。周辺の国でも同じようなもんですが、地方では水道が整備されていない地域も多く、水の問題はより深刻です。

ただ、今回のプロジェクトを実施した2024年は、前年の2023年にクーデターが起きて、国内がかなり不安定な状況でした。そもそもニアメ以外は治安が悪い地域も多く、そんな中で地方まで行って実証するのは、さすがに現実的ではありません。

まあ、クーデターの翌年にプロジェクトをやろうとしている時点で、あまり普通ではないんですけどね。

ということで今回は、首都ニアメの郊外に水浄化システムを設置することにしました。首都といっても、少し郊外に出れば水道が整備されていない地域が広がり、実際に水を必要としている住民がいます。一方で、ニアメには政府関係機関や国際機関の事務所も集まっています。

つまり、実証する場所としては、なかなか都合がいい。

住民には実際に必要な水を使ってもらえるし、政府や国際機関の関係者には、機器が本当にどんな働きをするのかを、その目で見てもらうことができます。こういう機器は、資料で「処理能力はこれくらいです」「この膜で菌を除去します」と説明しても、なかなか伝わりません。それよりも、目の前に濁った水を持ってきて、機器に通して、蛇口から透明な水が出てくるところを見てもらう。

こっちの方が、圧倒的に早い。

そんなわけで、ニジェールでの最初の一歩は、首都ニアメの郊外から始めることになりました。

日本人、ビザ取れない。じゃあ、南スーダンから!

ニジェールには、以前から一緒に仕事をしているビジネスパートナーがいます。彼はJICAのABEイニシアティブの制度で日本へ留学していて、その時に出会ったことが、今の関係につながっています。

ただ、彼が日本にいたのは2020年。

その頃は、まだ今回の水浄化システムが完成していませんでした。つまり、太陽光発電についてはある程度技術移転できていたものの、水浄化システムについては、まだ直接教える機会がなかったわけです。本来なら、私たちがニジェールへ行って、設置方法や運転方法、メンテナンスまで現地で教えるのが一番早い。

ところが、当時はクーデター後で、日本人はビザを取るのがメチャメチャ難しくなっていた。まず無理。

さて、どうするか。

そこで登場するのが、南スーダンのビジネスパートナーです。彼も元ABEイニシアティブ生で、日本で今回導入する水浄化システムの技術移転を受けています。実際に機器を触り、設置や運転方法まで学んでいるので、現地で技術指導することができます。

それで、日本人がビザ取れへんのやったら、南スーダンのパートナーに頼もう。となり

本人に、ニジェールに指導に行ってくれへん?と聞いてみると、
クーデターの?
そうそう。
うん、いいよ!

ありがたい一言で話は、一気に前に進みました。
南スーダンからニジェールへ、地図上でみたら近いけど、南スーダン人もニジェールのビザはエチオピアで発給してもらう必要があり、エチオピアで数泊しての移動。メチャメチャ大変なのに即答!本当にありがとう!

時間がかかったけど、無事にニジェールへ到着。

翌日から、早速設置を始めます。

日本で技術を学んだ南スーダンのパートナーがいるので、作業は順調に進みます。ニジェール側のパートナーにも一緒に作業してもらいながら、設置方法や運転方法を一つずつ伝えていきました。

日本で学んだ技術を、南スーダン人がニジェール人へ伝える。
よく考えたら、これ結構おもしろい話です。
日本 → 南スーダン → ニジェール。
日本人が現地に行けなくても、技術はちゃんと現地へ届く。そんな形で、ニジェールでのセットアップが始まりました。

こんな濁った水でも大丈夫?

機器はできるだけシンプルに作ってあるので、現地での組み立ても順調。いよいよ実際に水を通します。
ろ過するのは、ニジェール川から汲んできた水。ジェリーカンに入れて運んできた水を、機器のタンクへ移し替えていくけど、なかなかの濁り具合。

これ、ほんまに大丈夫なん?

この実機を始めて見たニジェール側のビジネスパートナーも、さすがに少し不安だったようです。
まかしてください。この程度の濁りは朝飯前や!。

ポンプを動かして、濁った水をフィルターへ通していくと――蛇口から、めちゃめちゃ透明な水が出てきました。
浄化前と浄化後の水を並べてみると、その違いは一目瞭然。

トレビアン!って言ったかしらんけど、みんなビックリ!

こういう機器は、処理能力がどうとか、膜の性能がどうとか、いろいろ説明することはできるけど、やっぱり目の前で実際に見てもらうのが一番手っ取り早い。
濁った水を入れて、すぐに透明な水が出てくる。これが、いちばん分かりやすい説明です。

しかも、見た目がきれいになるだけではありません。このろ過膜は、大腸菌などの細菌も除去することができます。
つまり、濁った水を透明にするだけではなく、住民が使う水を、より安全な水に変えるための機器なんです。

もう飲んでるやん!

透明な水が出てくると、その様子を見ていた地元の若者たちがサッと集まってくるなり、

オイオイ、いきなり飲んでるやん!

よく見るとコップまで持って来ているから、最初から飲む気満々だったよう。分かりやすいわ。濁った水が機器を通って透明になり、その水を飲んで見たくなったよう。こういう反応はありがたい。長々と説明しなくても、この機器が何のためにあるのかが自然に伝わります。ちなみに飲み水とするには検査が必要なんです。

水は、生活を支える大事なものです。だからこそ、現地の人が実際に手に取って、飲んでみようと思ってくれたことには大きな意味がありました。そして今回のプロジェクトでは、もう一つ大きな成果がありました。

日本で技術を学んだ南スーダンのパートナーが、ニジェールのパートナーへ技術を伝えたことです。

日本 → 南スーダン → ニジェール。
日本人が現地に行けなくても、技術はちゃんと現地へ届く。水浄化システムを一台設置しただけではなく、現地で設置し、運転し、次へつなげていける人材まで育てることができました。

今回のプロジェクト。濁った水をきれいにする日本の技術が、実際にニジェールで動き、現地の人たちで運用を始めた。小さなプロジェクトでしたが、私たちにとっては、かなり大きな一歩になりました。

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